平成24年7月29日(日)

大山・剣ヶ峰
(この時期お得な大山・ユートピア避難小屋経由剣ヶ峰)


今まで大山は2度程弥山まで登った事があったが強烈な印象があるという程でも無かった。近年HP仲間の掲示板で
中国地方の山仲間との交流が盛んになり三鈷峰のお花畑が取り上げられる様になった。でも気分的に日本海近くまで
行くのが遠い気がして二の足を踏んでいたのだった。
しかし冷静に考えると香川から石鎚土小屋へ行くより時間的に短いのだ。(坂出〜大山登山口 約2時間半)


LNG
船が27日夕に出港し28日はダラダラと過ごした反動で翌29日いよいよ大山へ出かける事にする。

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この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図による大山・剣ヶ峰山行

04時前に飛び起きて自宅を出発。ガソリンの給油をギリギリまで辛抱し蒜山サービスエリアに到着するも何と高速
道路のガソリンスタンドが開いていない。対面方向のスタンドは営業しているが行くに行けない。こんなのアリ? 
溝口を降りてガソリンスタンドを探しながら行くが無い。まあ何とかなるでしょう。

大山寺入り口の無料駐車場に06時30分過ぎに着いた。高速代は片道約3,500円。公営駐車場はこの時間スペ
ースがあり端っこに停めて準備をする。熱中症対策でペットボトル4本を凍らせて保冷パックに詰めている。

隣に軽四箱バンが止まり若者が「元気ですねえ」と言いながら使い古した登山靴を履いて用意していた。この若者に
は後程天狗ヶ峰附近で再会する事になる。06時50分長い参道を大山寺方面へと進む。

突き当たって左手に「日本一長い自然石の道」と銘打った「大神山神社(おおがみやま) 奥宮」への参道が続く。
ここも石鎚神社と同様に明治維新政府の神仏分離政策により大山寺より分かれた神社との事。


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     大山寺境内の石畳を歩く                  突き当りを左手に曲がると大神山神社の石畳となる

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     右手には石仏が彫られている大岩            登山口は大神山神社の境内に入って右手にある

この長い石段を突き当たると神社の境内に入り、三鈷峰への登山道はその右手にある。豊富な樹木に覆われた歴史
を感じさせる登山道を少し進むと左手に下宝珠山登山道分岐標識がり山間に入って行く。


幹が林立した自然林の登山道を進むと上側で治山道路と交差する。するとここから道路を進まず、そのまま沢のガレ
場を尾根まで進む事になっている。数組の登山者と前後して水の無いガレ場を上がって行く。こう言った登山道は
あまり四国にはお目にかからず日本アルプスの様である。

07時45分下宝珠山の稜線に出る。キツい斜面なので数組の登山者がここで休憩中である。

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登山口を少し歩くと下宝珠山分岐(これを左に)    うっそうとした森林の中にガレ場登山道が続く

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 治山道路に出るが、そのまま涸沢を直登する     稜線部で休憩する登山者

尾根に出て緩やかな登りになり樹木に溢れた登山道を進む。踏み跡もしっかりしており迷う事もない。しばらく歩く
と右手木々の間から白い大山北壁が見える。石鎚の北壁とは明らかに違うこれも四国には無い景色である。

中学校の社会科地理の時間に四国山地は壮年期で険しく、中国山地は老年期でなだらかであると習ったが、確かに
地質が古そうで崩れている。でもここ大山だけは岩盤が険しく残されている。

先を見渡すと続くべき尾根が見当たらず。左手に別の山塊が現れる。すると登山道は右に一旦巻いて急な傾斜を下り
ると今度は左手に振って進む事になる。

一度ピーク手前で休憩されている登山者が多く、脇を進むと道が切れた。この辺りの斜面にはコゴメグサが沢山咲い
ている。少し引き返すと右手にピークをトラバースする登山道がありここを進む。


岩場やロープが出現するがまあそんなに危険な事はない。右手の親指を東赤石山で骨折し固定したままなのでダブル
ストックは使えず、左手で1本ストックを扱う。岩の回廊の様な場所にロープが敷設されているが、ここは岩が露出
しているので登山者の落石はそう深刻ではない。


尾根を乗越すと正面の右側が崩壊している。真っ直ぐに崩壊地に沿って直登するのかと思いきやコルを少し上がる
と左手にトラバースしていた。この辺りからナンゴククガイソウが現れ茶色い蝶が沢山舞っている。先ほどからユー
トピア避難小屋が左手上方に見えている。足場の少し悪い登山道を一旦グルリとトラバースをしキャラボクの樹林が
現れると三鈷峰の尾根筋が近い。


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朝日を浴びた豊かな森林が美しい            木々の間から大山北壁が現れる



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岩盤が出ているので落石の心配は少ない     花崗岩の沢が雪の様に白く見える

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          大山北壁  まるで北アルプスの風景だ



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                       剣ヶ峰への鋭い稜線

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  正面の稜線から登山道は左へトラバースする        この尾根から左手の尾根へとトラバースする

 

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   クサボタンの群落                         クガイソウが現れると蝶が沢山舞っていた

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     左手上方に見えるユートピア小屋             ダイセンキャラボクの小群生を越える

09時25分 三鈷峰〜ユートピア分岐尾根に着いた。コオニユリの鮮やかな色が大山北壁への尾根筋をバックに
鮮やかだ。ここからシシウド、シモツケソウ、ナンゴククガイソウの群生が避難小屋までの尾根筋を埋め尽くす。
花の山滋賀県の伊吹山で見た様な景色である。


まだ朝早いのでそんなに登山者で一杯という程でもない。出かけに花撮影用のパナソニック・カメラを玄関に忘れ
て来たのが悔やまれた。折角前夜用意周到に充電したのだが・・・・


足元にはイヨフウロが咲いているが、伊予で見るより花がデカい。剣ヶ峰方面は霧がかかって姿が良く見えない。
09時40分ユートピア避難小屋に着くと小屋の中や周りに登山者が沢山休んでいる。登山道は非常に狭いので上
へ上へと広い場所を求めて進む。結局「象の鼻」と呼ばれる岩のピークに着いた。ここから先に進む人は少ない様
で今日初めての休憩を取る。



ユートピアのお花畑

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                   剣ヶ峰はガスの中

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         尾根分岐標識                         ショウマ、シシウド

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   ユートピア小屋への尾根道 (狭い)              シモツケソウ

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             オオバギボウシとクガイソウ

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    シシウドとシモツケソウ                     クガイソウ群落

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    伊吹山を彷彿とさせる美しいお花畑   ホソバノシュロソウやサラシナショウマなどもある

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     オオバギボウシと三鈷峰                   アサギマダラが大変多い

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                              三鈷峰


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       ユートピア避難小屋                   ユートピア小屋の上側斜面

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             何か気に入った淡い色彩

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        クガイソウの色が良い                    烏ヶ山かいな?

見上げると霧の晴れ間から鋭い尾根が現れた。左右どちらかに草が生えている場所は安全なのだが、両方共切れ
落ちている処が見える。ヤバそうだ。


草地には平和にクガイソウなどが咲いている。左手に鳥ヶ山らしきピークも見える。

暫く進むと展望所の様な小ピークがありその上に地元の年配の方が休んでおられたので「剣ヶ峰はどれですか?」
と聞く。右手の一番高い処だが尾根が切れ落ちて危険な場所があるので私はここからは行かない」と言う。そこへ
朝駐車場で会った若者が上から下りて来た。弥山から剣ヶ峰を経由して来たらしい。様子を聞くと弥山・剣ヶ峰間
は去年より荒れており相当ヤバかったと言う。昨日は3の沢から槍ヶ峰経由でここに来たとの事。二人は知り合い
らしく話しをしているので挨拶して先に出てみる。


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         剣ヶ峰(右上の霧に包まれたピーク)への尾根道  象ヶ鼻より

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      ダイセンオダマキの咲き残り               ダイモンジソウ

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    北斜面が切れ落ちている                       朝 駐車場で会った大山フリークの若者

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     象ヶ鼻方面を振り返る                    テントウムシも多かった



左手に先ほどのオジサンから聞いた槍ヶ峰が見え2〜3人の登山者が立っている。そこに向って厳しい細尾根が
続いている。え〜 こんな所をグランマー啓子さんが歩いたのか〜 じゃあ私も大丈夫じゃわい


左右に切れ落ちた所を慎重に歩くとピークの岩に「天狗ヶ峰」とペンキで書かれていた。ここが槍ヶ峰への分岐
になっている様だった。槍ヶ峰への尾根へは進まず主尾根を進み剣ヶ峰を目指す。

途中2箇所厳しい左右の切れ落ち箇所があるが短い距離だったので何とか慎重にクリア。

何せここには岩がなく石屑のステージなのだ。 ズルズルと足元が定まらずバラバラと小さな落石が起こる。
右手に草付きが現れるとホッとする。山頂直前で右手の樹林帯にトラバースする場所がありそこを超えると
11時00分剣ヶ峰山頂に着いた。


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                槍ヶ峰ピーク  人が立っている


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         天狗ヶ峰ピーク                  大山の南斜面  三ノ沢と二ノ沢が見える

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                   目指す大山・剣ヶ峰

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   おえ〜〜〜   石屑のステージじゃん!

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   片方に草付きがあるとホッとする               剣ヶ峰手前にあるトラバース道ブッシュ

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剣ヶ峰へ着くと一人着替え中の登山者(島根県の人)      まあ ここまでが一人歩きの限度じゃね

剣ヶ峰山頂は少し広く、セメントで作られた山頂モニュメントがある。そこには地元の登山者が一人おられて着替え
をしていた。「中々素晴らしい山ですね」と声をかけると「向こう(弥山)は人が多いけどこちらは静かです。私は
ここ(大山)しか来ません」と言う。


パンをかじりながら話をしているとどこからともなく登山者が増えてみんな顔見知りで親交を深めている。なるほど・
どこの山にも主の様な人たちがいるもんだ。話には入る事が出来ないので元に引き返す。

こう言う足場が悪い尾根道では下りが危険なので慎重に細尾根を下る。すると右手にヘリコプターが現れ長い間ホバ
リングをしている。午前中も同じ場所でヘリが飛んでいた。それを右手に見ながらあのヘリのお世話になる事だけは
避けなければ・・・と天狗ヶ峰、更に象ヶ鼻へと下る


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     弥山方面はガスの中                    三ノ沢から槍ヶ峰方面の登山道に救助ヘリが飛ぶ

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上から先ほどの登山者が剣ヶ峰から下りてくる              ここまで下りるとホッとする風景に


ユートピア避難小屋へ12時30分着くと登山者の数は更に増えていて素通りする。三鈷峰へ行こうかと一瞬
思ったが剣ヶ峰に登った満足感からスキップする。さて次の目的は砂すべりだ。ここには恐らく又何度か訪れる
事があるだろう。

登山道は団体登山者や登りの登山者の為時間がかかった。13時10分頃砂すべり分岐に着くと団体登山者が
「砂すべりで滑落などの事故が多発し行かない方が良いらしい」と云っている。まあここまで来て砂すべりを
恐れる事もないじゃろうて。


案の定、砂すべりの出発点に下りる崖で大渋滞となっていた。女性のキャアキャア言う声や笑い声が木霊する。
カンベンしてよ。


やっと順番がやってくる。見ると太いロープが崖に下げられており10m程の崖を沢筋まで下る事になって
いる。そのロープの角度が悪く、それにぶら下がると危険な落差のある場所へ向う事になる。左手に少し迂回
すると岩の出っ張りを利用して比較的安全に下りれそうだ。前の人が右手に行かない様にロープを必死で左に
引っ張ってあげる。自分はロープのお世話になる事無く沢に下りた。

沢は完全にガレていて砂というよりザレ場である。雪を踏み割りながら歩く要領で下って行くがローカット靴
の為石ころや砂が入る。段差がある場所が2箇所程現れるがそんなに難しい場所ではない。恐らく事故は最初の
川床への下り口で起こったのだろう。両岸が狭まっている場所では左から崩壊し木の枝などがなぎ倒されて道を
塞ぐ。


そこを越えると広い川床となる。最初の堰堤を左からクリア、次の大きな堰堤を右手からクリアすると最後は
右手から沢を出て広い林道登山口に出た。ここは恐らく朝横切った治山道路の終点部だろう。


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     賑わうユートピア避難小屋に帰る             やっと砂すべりへの下り口の順番が回ってくる

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  砂すべりへの下り口                       砂すべりとは思えない光景

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     砂すべりを下りる                       ちょっと段差もある

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      最初の堰堤は左へ迂回                 次の堰堤は右から下に下りる

ここにいる登山者はまどわず林道を進むが、標識には大山寺・大神神社は又左手の遊歩道へ導いているのでここを
進む事にする。


沢を左手に見ながら遊歩道を歩く。木道なども敷設され整備された道だった。背中やお腹に入れた凍ったペット
ボトルのお蔭で熱中症にもならなかった。見覚えのある下宝珠山分岐に着くと直ぐに大神神社に帰り着いた。
神社でお礼参りをして長い参道を下る。


参道横の溝に沿って流れる谷水をタオルに浸して顔や体を拭きながら歩く。あ〜きもちええ〜大山土産物屋により
以前買ったお菓子「岳」を探すが無い。店のオバサンに聞くと「ああ あれね あの時だけの限定品よ」


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   最後の堰堤で右手の林道・登山道と合流する       林道へは進まず左手の大山寺遊歩道を下りる

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     大神山神社への遊歩道                     大神山神社へ帰り着く

車に帰って隠れながら全ての着替えをする。高速道路の蒜山サービスエリアでガソリンを満タンにする。駐車場が
混雑しているので真庭PAにてモナ王(アイス)を買い携帯電話で家に連絡を入れる時何気なくメールが入って
いるのに気が着いた。何とトンちゃん達が大山へ1時間遅れで来ていたのだ。こんな所で滅多に会えないのに残念
でした。

大山・ユートピアと剣ヶ峰。 話に聞いていたが想像以上の素晴らしいや山域でした。